2010年04月17日

文明間大戦―発端―

始まりは唐突に訪れた。

闇文明の住みかである地下都市に響く轟音…。
原因不明の爆発は、一瞬にして付近のマナのバランスを不安定にし、あらゆるクリーチャーからマナを奪い去る死の世界を造り上げた。
生活圏を失いつつある今、闇文明の支配階級であるダークロードたちは、文明間の古(いにしえ)の取り決めである「大協約(グランカルタ)」を破り、地上への侵攻を決意した。

猛将として名高いダーク・フリードが緊急招聘(きんきゅうしょうへい)され、パラサイトワーム等(ら)を率いて「フィオナの森」への死の行進が始まった。
文明間大戦―発端―





沼地から這(は)い出たパラサイトワーム等は森の木々を貪り、腐敗させ、卵を産み付け数を増やした。
文明間大戦―発端―





森の住人であるビーストフォークたちは銀の拳(シルバー・フィスト)を団長とする銀髭団(シルバーヘアー・トライブ)を結成。
文明間大戦―発端―





反撃を開始した。
ダーク・フリード率いる闇の軍勢と銀髭団との戦いは熾烈を極め、豊かだったフィオナの森は大半が焦土と化した…。

しかし、フィオナの森の一大勢力のひとつであるホーン・ビーストたちは静観を決め込んでいた。

そうこうする内に闇の軍勢はホーン・ビーストたちの住みかにも進撃し始めた。
それでもホーン・ビーストたちは言い伝えを守り、戦うことなく退(しりぞ)くばかり。
延びきった戦線の綻(ほころ)びを突き、にわかに勢いを増す闇の軍勢。
銀の拳は自ら本隊を率いて、ホーン・ビーストたちの住みかの防衛戦を開始した。
だが、ダーク・フリード率いる本隊の猛攻は激しく、瞬く間に防衛線を突破されてしまう。
銀の拳率いる銀髭団本隊は、ホーン・ビーストたちを安全な場所に誘導しながら後退を余儀なくされていた。
そんな折、銀の拳は、逃げ遅れたギガ・ホーンの子供を目にする。
文明間大戦―発端―





仲間たちの制止も聞かず、子供を助けに疾駆(しっく)する銀の拳。
反射的な行動と云って良いだろう。
正義感と責任感の強い彼は、子供を見殺しにすることはできなかった。
ギガ・ホーンの子供を庇(かば)いながら本隊に合流しようと試(こころ)みる銀の拳。
しかし、ダーク・フリードは、そのチャンスを見逃さなかった。
パラサイトワームたちに激しく檄(げき)を飛ばしつつ、猛追(もうつい)を開始したのだ。
哀(あわ)れ銀の拳は、ダーク・フリードの魔剣に突き刺され、戦場に散った…。
その時である。
緑色の優しい光が辺りを照らし、戦場には似(に)つかわしくない静寂(せいじゃく)が訪れた…。
霊体として森を見守ってきた伝説のクリーチャー、フィオナが、ギガ・ホーンの子供を依り代(よりしろ)として実体化したのだ。
文明間大戦―発端―





静観を決め込み、後退するのみだったホーン・ビーストたちも銀の拳の英雄的な行動に胸を打たれ、言い伝えを破って戦うことを決意した。
フィオナを中心に怒濤の進撃を開始するホーン・ビースト軍団。
その様子は、遥か上空から偵察していたミスト・リエスのカメラアイにも映っており、彼をして「森が動いた。」と言わしめたという。
文明間大戦―発端―





ホーン・ビースト軍団の参戦により勢力を盛り返した銀髭団は闇の軍勢を撃退。
大半が焦土と化したフィオナの森に一時の安らぎが訪れたのだった。

しかし、これはほんの始まりに過ぎなかった…。
―完―



「機神装甲ヴァルボーグ」、「護りの角フィオナ」、「風撃の求道者ラ・バイル」、「ウォルタ」に続く「デュエル・マスターズ列伝」第5弾です。
第5弾の今回は、「文明間大戦―発端(ほったん)―」と題し、文明間大戦の始まりに迫ってみました。
今回は、特定のクリーチャーの視点を通さず、文明間戦争の勃発を淡々と描くものとしました。
これは、今までのストーリーを繋(つな)ぐ背景となります。
また、冒頭に登場する「大協約(グランカルタ)」は、それまでDM界で均衡が保たれ、文明間戦争が無かった…ということを描くための根拠として勝手に設定してしまいました(汗)。
更に、ホーン・ビーストの間では「言い伝え」という表現を用い、太古の昔、各文明の代表者が集まって決めた決まり事というニュアンスを持たせました。
そして、毎度ながら…タカラトミーさん、勝手に短編小説ぽいもの書いちゃってゴメンなさい。
…とか言いつつ、また書くよオラは(笑)!

それでは、またね〜。
(´Å`)ノ~


Posted by H∧L at 22:38│Comments(0)
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